2010年08月31日
マイケル4
ロングおじいさんが去って行った夜。マイケルは考えていた。というか昔からここの暮らしは窮屈と感じていた。
何でみんな何も疑問に思わないのか?ここから出たいと思わないのか?あんなおじいさんになって出たとしてもその先には何があるのか?
いろいろ考えていると全然眠れない。マイケルはロングおじいさんの部屋に行ってみた。
部屋の主がいなくなった部屋はとても広く感じられた。その部屋はロングさんがいないせいか変な匂いがしていた。マイケルがこれまで嗅いだ事のない匂いだ。なぜかその匂いを嗅ぐと心が落ち着いた。ロングさんはもうここにはいない。そう心の中で整理をつけ、マイケルは部屋に戻って行った。
次の日マイケルとユニは一生懸命働いていた。そう、この日はシチューの日なのだ。
何の楽しみもないここでは食べ物が唯一の娯楽といってもいいだろう。
朝から一生懸命働いているところを見せると、いつもコックさんはシチューを多めに入れてくれた。
汗だくになりながらマイケルとユニは食堂に向かった。
今日のシチューもおいしそうだ。
マイケルは一口食べた。
旨い!!
一週間まずい飯ばかり食べているので、このシチューは格別においしく感じた。
マイケルが『うまい!うまい!』と言いながら食べているとユニが言った。
『おいおい!どうしたんだマイケル泣くほど美味しいのか?』
マイケルは自分が泣いているのを知った。確かに泣いている。汗だくで分らなかったが目は涙で溢れていた。
ユニは気にせず自分のシチューを食べていた。その後マイケルに元気がなかったが、ユニは特に気にすることはなかった。
その翌日ユニが目覚めるとマイケルの姿はなかった。
ベッドにはユニ宛の手紙があった。
---------------------------------------------------
ユニへ
おれはここから出ていくことにする。突然でごめんな。相談しようと思ったけど、反対されそうで離せなかった。でもどうしても確かめたいことがあるんだ。
外に出たらロングおじいさんの所に行こうと思う。
何年でもお前を待っているから。そこから出たらどんな形でもいい連絡してくれよ。
お前の幸運を祈っている。
---------------------------------------------------------
ユニは少しだけ涙が出た。それと同時に怒りが湧いてきた。でもこの怒りもぶつけるところがないので次第に冷静になっていった。
マイケルはどこから出て行ったのか?当然のようにここから出るにはとても大変なことだ。
うんうん考えているとベルが鳴った。作業開始のベルだ。
ユニは急いで着替え作業場に向かった。
毎日ように名前が呼ばれる。
ユニは返事をしたが、同室のマイケルのことを聞かれたらどうしよう…と悩んでいた。だがユニ心配とは裏腹にマイケルの名前が呼ばれることはなかった。
ユニは一生懸命働いた。マイケルがいない分いつもの2倍働かなくてはならないのだ。
いつもより多く働いているせいか、時間が過ぎるのが早い。もうお昼の時間だ。
一生懸命働いても御飯がまずくてはやる気が出ない。昨日がシチューだっただけにユニはがっかりしていた。
ユニが食道に向かうと、いつもは厨房の奥にいるコックさんがいた。
コックは大きな声で話し始めた。
『毎日作業ご苦労様です。ここには沢山の人がいます。年老いた老人もいれば、まだ10にもならない子供もいる。特に子供にはここの環境はきついものがあるだろう。そこで一生懸命働いている子供に感謝の気持ちをこめて今日もシチューを出そうと思う。実は昨日子ヤギが手に入ったんだ。だが子ヤギなためみんなの分はない。せめて子供だけにでもサービスしようと思う。』
ユニは喜んだ。一生懸命仕事をするといつか自分に幸せは返ってくるのだ。
『マイケルは馬鹿だなぁ。あと一日待っていれば今日もシチューを食べれたのに。』
ユニはそう思っていた。
何でみんな何も疑問に思わないのか?ここから出たいと思わないのか?あんなおじいさんになって出たとしてもその先には何があるのか?
いろいろ考えていると全然眠れない。マイケルはロングおじいさんの部屋に行ってみた。
部屋の主がいなくなった部屋はとても広く感じられた。その部屋はロングさんがいないせいか変な匂いがしていた。マイケルがこれまで嗅いだ事のない匂いだ。なぜかその匂いを嗅ぐと心が落ち着いた。ロングさんはもうここにはいない。そう心の中で整理をつけ、マイケルは部屋に戻って行った。
次の日マイケルとユニは一生懸命働いていた。そう、この日はシチューの日なのだ。
何の楽しみもないここでは食べ物が唯一の娯楽といってもいいだろう。
朝から一生懸命働いているところを見せると、いつもコックさんはシチューを多めに入れてくれた。
汗だくになりながらマイケルとユニは食堂に向かった。
今日のシチューもおいしそうだ。
マイケルは一口食べた。
旨い!!
一週間まずい飯ばかり食べているので、このシチューは格別においしく感じた。
マイケルが『うまい!うまい!』と言いながら食べているとユニが言った。
『おいおい!どうしたんだマイケル泣くほど美味しいのか?』
マイケルは自分が泣いているのを知った。確かに泣いている。汗だくで分らなかったが目は涙で溢れていた。
ユニは気にせず自分のシチューを食べていた。その後マイケルに元気がなかったが、ユニは特に気にすることはなかった。
その翌日ユニが目覚めるとマイケルの姿はなかった。
ベッドにはユニ宛の手紙があった。
---------------------------------------------------
ユニへ
おれはここから出ていくことにする。突然でごめんな。相談しようと思ったけど、反対されそうで離せなかった。でもどうしても確かめたいことがあるんだ。
外に出たらロングおじいさんの所に行こうと思う。
何年でもお前を待っているから。そこから出たらどんな形でもいい連絡してくれよ。
お前の幸運を祈っている。
マイケル
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ユニは少しだけ涙が出た。それと同時に怒りが湧いてきた。でもこの怒りもぶつけるところがないので次第に冷静になっていった。
マイケルはどこから出て行ったのか?当然のようにここから出るにはとても大変なことだ。
うんうん考えているとベルが鳴った。作業開始のベルだ。
ユニは急いで着替え作業場に向かった。
毎日ように名前が呼ばれる。
ユニは返事をしたが、同室のマイケルのことを聞かれたらどうしよう…と悩んでいた。だがユニ心配とは裏腹にマイケルの名前が呼ばれることはなかった。
ユニは一生懸命働いた。マイケルがいない分いつもの2倍働かなくてはならないのだ。
いつもより多く働いているせいか、時間が過ぎるのが早い。もうお昼の時間だ。
一生懸命働いても御飯がまずくてはやる気が出ない。昨日がシチューだっただけにユニはがっかりしていた。
ユニが食道に向かうと、いつもは厨房の奥にいるコックさんがいた。
コックは大きな声で話し始めた。
『毎日作業ご苦労様です。ここには沢山の人がいます。年老いた老人もいれば、まだ10にもならない子供もいる。特に子供にはここの環境はきついものがあるだろう。そこで一生懸命働いている子供に感謝の気持ちをこめて今日もシチューを出そうと思う。実は昨日子ヤギが手に入ったんだ。だが子ヤギなためみんなの分はない。せめて子供だけにでもサービスしようと思う。』
ユニは喜んだ。一生懸命仕事をするといつか自分に幸せは返ってくるのだ。
『マイケルは馬鹿だなぁ。あと一日待っていれば今日もシチューを食べれたのに。』
ユニはそう思っていた。
おわり
2010年07月05日
マイケル3
その日マイケルは寝付けなかった。寝る前にユニとおしゃべりしすぎていたからだ。少し興奮していたのかもしれない。
いつもは一人で行けない夜中のトイレに行った。暗い廊下では怖い事が常に頭に浮かんで夜中のトイレはいつもユニを起して行っていたが、この日は興奮していたせいか一人でトイレに向かった。
用をすませトイレから出たマイケル。おしっこをして興奮が冷めてしまうと、また暗い廊下が不気味に思えてきた。
足早に部屋へ戻ろうとしたマイケルの目にロングさんの部屋が映った。
「そういえばロングさん泣いていたな…。どうかしたのかな?」
何となく気になっていたロングさんの部屋を通り過ぎようとしたマイケルは声を聞いた。ロングさんの声だった。その声は泣いているように聞こえた。
暗闇が怖く早く毛布に入りたかったマイケルだったが、ロングさんの部屋を覗いてみた。
ロングさんはベッドに腰かけながら泣いていた。
「どうしたの?ロングさんも眠れないの?」
突然声をかけられたロングさんは少し驚いた表情をしたが、落ち着いて話た。
「その声はマイケルだな。こんな遅くにどうしたんだ。」
「眠れないんだ。なんか最近凄く考え事しちゃって…。ここがどこだかも分からないし。毎日同じことばっかりやってるしさ…。ロングさんはココに来て長いんでしょ?何か知ってるの?」
「マイケル。世の中には知らない方が幸せってことがあるんだよ。私は長く生きすぎた。そのせいで知らない方が良いことも知ってしまった。無駄な好奇心は持たない事だよ。」
声がかすれたロングさんは答えた。その声は近くにいても遠くに感じられた。ロングさんは続けた。
「今度達成者になるのはこの私だ。私は早く達成者になりたかった。ここを出るには達成者にならなければならないからな。もう私は疲れたんだよ。」
その次の木曜日ロングさんは達成者として去って行った。その顔は安堵の表情と言うよりは何か怯えた表情をしていた。
いつもは一人で行けない夜中のトイレに行った。暗い廊下では怖い事が常に頭に浮かんで夜中のトイレはいつもユニを起して行っていたが、この日は興奮していたせいか一人でトイレに向かった。
用をすませトイレから出たマイケル。おしっこをして興奮が冷めてしまうと、また暗い廊下が不気味に思えてきた。
足早に部屋へ戻ろうとしたマイケルの目にロングさんの部屋が映った。
「そういえばロングさん泣いていたな…。どうかしたのかな?」
何となく気になっていたロングさんの部屋を通り過ぎようとしたマイケルは声を聞いた。ロングさんの声だった。その声は泣いているように聞こえた。
暗闇が怖く早く毛布に入りたかったマイケルだったが、ロングさんの部屋を覗いてみた。
ロングさんはベッドに腰かけながら泣いていた。
「どうしたの?ロングさんも眠れないの?」
突然声をかけられたロングさんは少し驚いた表情をしたが、落ち着いて話た。
「その声はマイケルだな。こんな遅くにどうしたんだ。」
「眠れないんだ。なんか最近凄く考え事しちゃって…。ここがどこだかも分からないし。毎日同じことばっかりやってるしさ…。ロングさんはココに来て長いんでしょ?何か知ってるの?」
「マイケル。世の中には知らない方が幸せってことがあるんだよ。私は長く生きすぎた。そのせいで知らない方が良いことも知ってしまった。無駄な好奇心は持たない事だよ。」
声がかすれたロングさんは答えた。その声は近くにいても遠くに感じられた。ロングさんは続けた。
「今度達成者になるのはこの私だ。私は早く達成者になりたかった。ここを出るには達成者にならなければならないからな。もう私は疲れたんだよ。」
その次の木曜日ロングさんは達成者として去って行った。その顔は安堵の表情と言うよりは何か怯えた表情をしていた。
2010年02月12日
マイケル2
マイケルとユニは食堂に向かった。
食堂にはロングさんが先にいた。
ロングさんは泣きながらシチューを食べていた。
マイケルはロングさんに言った。
『何がそんなに悲しいの?ここは楽しいことも無ければ悲しいことも無い。毎日同じだ。ロングさん何かあったの?』
ロングさんは答えなかった。ただ泣きながらシチューを食べ部屋へ戻って行った。
ユニはマイケルに言った。
『ロングさんは気にするなよ。あの人はいつもどこかおかしいんだ。最近達成者になった友達がいなくなって寂しいのさ』
そうか…マイケルは寂しそうに言った。
美味しいシチューを食べたマイケルとユニは同じ部屋に戻った。
マイケルとユニは昔から同じ部屋で過ごしている。
夕食から消灯までのおしゃべりも娯楽のないここでは楽しかった。
『なぁユニ。もし俺が先に達成者になってここを出たら悲しいか?』
『それは寂しいな。こうしておしゃべりも出来なくなるし…。でも頑張って出るときまでマイケルは待っててくれるだろう?会えないのは一時だ。我慢するよ。』
『そうだな。ユニが先に出た時も待っててくれよ。』
その後2人は外に出たら一緒に住もう!とかベッタおじさんが言っていた女の子の想像をして盛り上がった。
楽しいおしゃべりの中でもマイケルの頭の中にはロングさんの泣いていた姿がこびりついていた。
食堂にはロングさんが先にいた。
ロングさんは泣きながらシチューを食べていた。
マイケルはロングさんに言った。
『何がそんなに悲しいの?ここは楽しいことも無ければ悲しいことも無い。毎日同じだ。ロングさん何かあったの?』
ロングさんは答えなかった。ただ泣きながらシチューを食べ部屋へ戻って行った。
ユニはマイケルに言った。
『ロングさんは気にするなよ。あの人はいつもどこかおかしいんだ。最近達成者になった友達がいなくなって寂しいのさ』
そうか…マイケルは寂しそうに言った。
美味しいシチューを食べたマイケルとユニは同じ部屋に戻った。
マイケルとユニは昔から同じ部屋で過ごしている。
夕食から消灯までのおしゃべりも娯楽のないここでは楽しかった。
『なぁユニ。もし俺が先に達成者になってここを出たら悲しいか?』
『それは寂しいな。こうしておしゃべりも出来なくなるし…。でも頑張って出るときまでマイケルは待っててくれるだろう?会えないのは一時だ。我慢するよ。』
『そうだな。ユニが先に出た時も待っててくれよ。』
その後2人は外に出たら一緒に住もう!とかベッタおじさんが言っていた女の子の想像をして盛り上がった。
楽しいおしゃべりの中でもマイケルの頭の中にはロングさんの泣いていた姿がこびりついていた。
つづく
2010年01月06日
マイケル1
マイケルは考えていた。こんな生活は退屈だ。
暗い地下で働くマイケル。確か歳は10歳になったと思う。毎日同じ作業ばっかりだ。とてもつまらない。
いつからここにいるのか…思い出そうとしても思い出せない。ずっとここにいるのだから。
毎日同じ作業ばっかりでつまらない。
ここには色んな人が働いていた。マイケルのような子供からロングさんのようなお爺さんまで、ゆうに100人はいるだろうか。
マイケルは9歳になったころから疑問に思っていた。
ここはどこなんだ?毎日同じ作業をしてつまらない。刺激が無いのだ。
マイケルは友達のユニに聞いた。
『ユニ。毎日同じ作業で退屈じゃないのか?なんで僕らはココにいるのか疑問じゃないのか?』
ユニは答えた。
『疑問なんて持つなよマイケル。ここがどこだろうが関係ない。僕らの居場所はここしかないんだ。与えられた仕事をすればご飯が貰える。ただそれだけさ。』
そうここでの生活で唯一の楽しみはご飯だった。娯楽も無く暗い空間で同じ作業をしているを気が狂いそうになる。
ゆいつの希望は『達成者』になることだった。毎週選らばれる『達成者』はココから出る権利をもらえるのだ。
でもマイケルは知っていた。『達成者』にはお爺さんしか選ばれないことを…。マイケルはまだ9歳。『達成者』に選ばれるのはまだ何年も先だろう。
マイケルがウンウン考えているとユニが言った。
『何をそんなに考えているんだマイケル。ほら今日はシチューの日だ。早く仕事を終わらせようぜ!』
ここでは毎週決まった日にシチューが出た。このシチューの回数で今日が何日かを知ることが出来た。
マイケルとユニはこのシチューが大好きだった。
暗い地下で働くマイケル。確か歳は10歳になったと思う。毎日同じ作業ばっかりだ。とてもつまらない。
いつからここにいるのか…思い出そうとしても思い出せない。ずっとここにいるのだから。
毎日同じ作業ばっかりでつまらない。
ここには色んな人が働いていた。マイケルのような子供からロングさんのようなお爺さんまで、ゆうに100人はいるだろうか。
マイケルは9歳になったころから疑問に思っていた。
ここはどこなんだ?毎日同じ作業をしてつまらない。刺激が無いのだ。
マイケルは友達のユニに聞いた。
『ユニ。毎日同じ作業で退屈じゃないのか?なんで僕らはココにいるのか疑問じゃないのか?』
ユニは答えた。
『疑問なんて持つなよマイケル。ここがどこだろうが関係ない。僕らの居場所はここしかないんだ。与えられた仕事をすればご飯が貰える。ただそれだけさ。』
そうここでの生活で唯一の楽しみはご飯だった。娯楽も無く暗い空間で同じ作業をしているを気が狂いそうになる。
ゆいつの希望は『達成者』になることだった。毎週選らばれる『達成者』はココから出る権利をもらえるのだ。
でもマイケルは知っていた。『達成者』にはお爺さんしか選ばれないことを…。マイケルはまだ9歳。『達成者』に選ばれるのはまだ何年も先だろう。
マイケルがウンウン考えているとユニが言った。
『何をそんなに考えているんだマイケル。ほら今日はシチューの日だ。早く仕事を終わらせようぜ!』
ここでは毎週決まった日にシチューが出た。このシチューの回数で今日が何日かを知ることが出来た。
マイケルとユニはこのシチューが大好きだった。
つづく
2009年12月16日
白熊について
この前深夜のNHKを見てたら大自然特集に白熊が出ていました。
過酷な白熊を見ていたら『大変だな~。なんで暖かい地域に行かないのかな~?』と不思議に思いました。
でもそれは僕が人間だからだと思います。白熊から見たら『人間ってあんな五月蝿くて汚い所に住んで良く平気だな~』なんて思っているかもしれませんね。
ただ白熊みてて書いてみた白熊です。それ以下もそれ以上も無いです。
過酷な白熊を見ていたら『大変だな~。なんで暖かい地域に行かないのかな~?』と不思議に思いました。
でもそれは僕が人間だからだと思います。白熊から見たら『人間ってあんな五月蝿くて汚い所に住んで良く平気だな~』なんて思っているかもしれませんね。
ただ白熊みてて書いてみた白熊です。それ以下もそれ以上も無いです。
2009年12月16日
白熊
僕はオオタク。白熊だ。ほんの2日前母親から離れた。弟と2匹で、この大自然に飛び出したんだ。
今まで見てきた風景もいつもと違う。
この過酷な氷の世界で生きて行かなくてはならない。
しかし僕らは何処に行くにも自由だ。何にも縛られることはない。地球上で最も自由だ。
たった白熊2匹にとってはこの世界は広すぎる。この永遠とも思われる大地で僕らは何処まで行けるのか?
たった2匹の旅は始まった。
とりあえず僕らは歩いた。別に目指す所はない。あての無い旅だ。
どうにも僕らの住むこの世界は地面が薄い。
100kgをも越える僕らの体は、たまに薄い地面を突き破り冷たい海へと落ちる。だが僕らの好奇心は寒さに勝り突き動かす。
まだ見ぬ新しい大地へ僕らは歩いた。
腹が空けば魚を取った。
苦手な漁だ。この極寒の地では他の生き物と出会うのはまれだ。
漁だって楽じゃない。冷たい海の中で魚をとるのは至難の技だ。
僕らは常に空腹だった。この大きな体はやたらと腹が減る。
だが僕らはひたすら歩いた。あてはないが、歩くことが唯一の生への実感だった。
たまにいる大きなアザラシを弟と分け合って旅をしていた。
だが次第に弟との距離が開いてきた。一緒に遊ぶことも無くなってきた。
あいつはほとんど喋らないし何を考えているのか分らない。
僕らは別々の道を行くことにした。
一匹の旅は孤独だ。毎日することは餌を探すことか、寝ることばかりだ。他の白熊を見ることはあまりない。真っ白な世界に真っ白な自分がいるだけの世界だ。
久しぶりに弟に会った。アザラシの牙が刺さって死んでいた。僕は弟が仕留めたであろうアザラシを全部食べた。こんなにお腹いっぱいになったのは初めてのことだった。
なぜ僕は歩いているのだろう?この先に何があるのだろう?死んだ弟はどこに行くのだろう?答えが出るわけではないが、今日も僕はこの白い大地を歩き続ける。
今まで見てきた風景もいつもと違う。
この過酷な氷の世界で生きて行かなくてはならない。
しかし僕らは何処に行くにも自由だ。何にも縛られることはない。地球上で最も自由だ。
たった白熊2匹にとってはこの世界は広すぎる。この永遠とも思われる大地で僕らは何処まで行けるのか?
たった2匹の旅は始まった。
とりあえず僕らは歩いた。別に目指す所はない。あての無い旅だ。
どうにも僕らの住むこの世界は地面が薄い。
100kgをも越える僕らの体は、たまに薄い地面を突き破り冷たい海へと落ちる。だが僕らの好奇心は寒さに勝り突き動かす。
まだ見ぬ新しい大地へ僕らは歩いた。
腹が空けば魚を取った。
苦手な漁だ。この極寒の地では他の生き物と出会うのはまれだ。
漁だって楽じゃない。冷たい海の中で魚をとるのは至難の技だ。
僕らは常に空腹だった。この大きな体はやたらと腹が減る。
だが僕らはひたすら歩いた。あてはないが、歩くことが唯一の生への実感だった。
たまにいる大きなアザラシを弟と分け合って旅をしていた。
だが次第に弟との距離が開いてきた。一緒に遊ぶことも無くなってきた。
あいつはほとんど喋らないし何を考えているのか分らない。
僕らは別々の道を行くことにした。
一匹の旅は孤独だ。毎日することは餌を探すことか、寝ることばかりだ。他の白熊を見ることはあまりない。真っ白な世界に真っ白な自分がいるだけの世界だ。
久しぶりに弟に会った。アザラシの牙が刺さって死んでいた。僕は弟が仕留めたであろうアザラシを全部食べた。こんなにお腹いっぱいになったのは初めてのことだった。
なぜ僕は歩いているのだろう?この先に何があるのだろう?死んだ弟はどこに行くのだろう?答えが出るわけではないが、今日も僕はこの白い大地を歩き続ける。
おわり
2009年12月04日
ビリー4
ビリーは朝早く起きた。と言ってもあまり寝た気がしない。
今日はマーキンの誕生日だ。この日のためにビリーはいろいろ準備していた。
色とりどりのケーキ。沢山の動物たちを呼び、マーキンが来ること今か今かと待っていた。
しかしいくら待ってもマーキンが来ることはなかった。
無情にも時間だけが過ぎていく。1匹また1匹と動物たちは森へ帰って行った。
しょうがないなマーキンは。自分の誕生日も忘れちゃったのか…
ビリーはその夜。こっそりとマーキンの家に行った。
マーキンはベットで寝ていた。まだこんな早い時間なのに。
マーキンは意を決して家の扉を叩いた。いつもは夜に遊びに来るとマーキンの母親にひどく怒られたものだ。だが今日はマーキンの誕生日。プレゼント一つ渡すぐらい良いだろう。ビリーはせめてマーキンにプレゼントをあげて帰ろうと思っていた。今日中に渡したかったのだ。
扉が開いた。中からマーキンの母親が出て来た。
『ビリー…ごめんなさい』
怒られると思っていたビリーは戸惑った。ビリーが話す前に母親が口を開いた。
『ビリーもうマーキンは貴方と遊べないの。ごめんなさいね。』
母親は今にも泣き崩れそうになりながら必死にビリーに話した。
マーキンは先日の嵐で事故にあい視力を失っていた。
ビリーは一人帰って行った…
…………………………………
翌日マーキンは太陽の光で目が覚めた。こんなにまぶしいのは久しぶりだ。
はっ!と我に返る。目が見える!マーキンは叫んだ。
驚く母親をよそ目にマーキンは走った。ビリーごめんよ!なぜか涙があふれていた。マーキンはいつもの丘に走って行った。
丘に着いたマーキン。周りを見渡す。誰もいない。
いつもの木の下に見慣れないものがあった。
そこにはビリーの石像があった。その隣には冷たくなった白い大きな犬が横たわっていた。
ビリーの石像には手紙が挟まっていた。
[マーキンへ
俺はこの町を出ることにする。俺の石像見たかい?よくできているだろう?銅像は無理だったけどこれが今の俺の精一杯だ。でもいつか世界中に俺の銅像も建てるつもりだ。それが夢だからな。
お前も自分の夢を叶えろよ!誕生日プレゼントは俺が夢をかなえて、また帰って来た時まで待っててくれ。]
走り書きのような手紙を見てマーキンはまた涙がこぼれて来た。
…………………………
少し長い時間がたった。白髪が目立ち始めたマーキンは今日もビリーの像の隣で星を数えていた。
今日はマーキンの誕生日だ。この日のためにビリーはいろいろ準備していた。
色とりどりのケーキ。沢山の動物たちを呼び、マーキンが来ること今か今かと待っていた。
しかしいくら待ってもマーキンが来ることはなかった。
無情にも時間だけが過ぎていく。1匹また1匹と動物たちは森へ帰って行った。
しょうがないなマーキンは。自分の誕生日も忘れちゃったのか…
ビリーはその夜。こっそりとマーキンの家に行った。
マーキンはベットで寝ていた。まだこんな早い時間なのに。
マーキンは意を決して家の扉を叩いた。いつもは夜に遊びに来るとマーキンの母親にひどく怒られたものだ。だが今日はマーキンの誕生日。プレゼント一つ渡すぐらい良いだろう。ビリーはせめてマーキンにプレゼントをあげて帰ろうと思っていた。今日中に渡したかったのだ。
扉が開いた。中からマーキンの母親が出て来た。
『ビリー…ごめんなさい』
怒られると思っていたビリーは戸惑った。ビリーが話す前に母親が口を開いた。
『ビリーもうマーキンは貴方と遊べないの。ごめんなさいね。』
母親は今にも泣き崩れそうになりながら必死にビリーに話した。
マーキンは先日の嵐で事故にあい視力を失っていた。
ビリーは一人帰って行った…
…………………………………
翌日マーキンは太陽の光で目が覚めた。こんなにまぶしいのは久しぶりだ。
はっ!と我に返る。目が見える!マーキンは叫んだ。
驚く母親をよそ目にマーキンは走った。ビリーごめんよ!なぜか涙があふれていた。マーキンはいつもの丘に走って行った。
丘に着いたマーキン。周りを見渡す。誰もいない。
いつもの木の下に見慣れないものがあった。
そこにはビリーの石像があった。その隣には冷たくなった白い大きな犬が横たわっていた。
ビリーの石像には手紙が挟まっていた。
[マーキンへ
俺はこの町を出ることにする。俺の石像見たかい?よくできているだろう?銅像は無理だったけどこれが今の俺の精一杯だ。でもいつか世界中に俺の銅像も建てるつもりだ。それが夢だからな。
お前も自分の夢を叶えろよ!誕生日プレゼントは俺が夢をかなえて、また帰って来た時まで待っててくれ。]
走り書きのような手紙を見てマーキンはまた涙がこぼれて来た。
…………………………
少し長い時間がたった。白髪が目立ち始めたマーキンは今日もビリーの像の隣で星を数えていた。
おわり
2009年12月02日
ビリー3
ビリーは考えていた。来週はマーキンの誕生日だ。
マーキンは犬が欲しいと言っていた。だがただ犬を出すのは簡単だ。それに犬なんてそこら辺から拾ってこればいいんだ。
しかしビリーは知っていた。マーキンは僕から犬がほしいんだ。魔法使いの僕が出す犬だから欲しいんだ。
ビリーは考えた挙句に、死なない犬をマーキンにプレゼントすることにした。
我ながら良い考えだとビリーは思った。最愛のものが無くなるのはとても辛いことだ。ビリーは昔を思い出した。
ビリーが昔を思い出しているところに、コールマンがやってきた。
『おいビリー。お前のいたずらにはもうウンザリだ。村を出て行ってもらう。これはもう村の会議で決まったことだ。だが村長が一つお前に提案した。今村は干ばつがひどくて作物が育たない。もしお前の魔法で雨を降らせることが出来たら村に残って良いとい言ってたぞ。』
コールマンは自分の言いたいことだけを話去って行った。
ビリーは考えていた。俺はいずれこの村を出ることを決めている。俺の魔法で世界を驚かしてやる!
だがこの前の黄色い鳥の話を思いだした。
そうだ俺は後3回しか魔法が使えない。それならずっとこの村でマーキンといた方が良いんじゃないのか?
ビリーは一晩中考えていた。
………………………
翌日村は大変なことになっていた。これまで来たことがない嵐が村を襲ったのだ。
嵐が去った後は酷いものだった。作物は壊滅的。柵が壊れ家畜が逃げ出していた。
コールマンがビリーを訪ねたのはこの日の午後だった。
……………………………
翌日朝起きた村人は驚いた。昨日まで壊滅的だった村が元通りになっていた。まるで嵐など無かったようだ。にげた家畜は帰ってきていたが傷だらけだった。この傷だけが嵐があった証拠だ。
村人は神様に感謝した。
村人が神様に感謝しているころ、ビリーは一人丘の上でマーキンの誕生日の準備をしていた。
誕生日を翌日に控えビリーはせっせと準備する。
太陽は傾きビリーの顔をオレンジに染めていった…。
マーキンは犬が欲しいと言っていた。だがただ犬を出すのは簡単だ。それに犬なんてそこら辺から拾ってこればいいんだ。
しかしビリーは知っていた。マーキンは僕から犬がほしいんだ。魔法使いの僕が出す犬だから欲しいんだ。
ビリーは考えた挙句に、死なない犬をマーキンにプレゼントすることにした。
我ながら良い考えだとビリーは思った。最愛のものが無くなるのはとても辛いことだ。ビリーは昔を思い出した。
ビリーが昔を思い出しているところに、コールマンがやってきた。
『おいビリー。お前のいたずらにはもうウンザリだ。村を出て行ってもらう。これはもう村の会議で決まったことだ。だが村長が一つお前に提案した。今村は干ばつがひどくて作物が育たない。もしお前の魔法で雨を降らせることが出来たら村に残って良いとい言ってたぞ。』
コールマンは自分の言いたいことだけを話去って行った。
ビリーは考えていた。俺はいずれこの村を出ることを決めている。俺の魔法で世界を驚かしてやる!
だがこの前の黄色い鳥の話を思いだした。
そうだ俺は後3回しか魔法が使えない。それならずっとこの村でマーキンといた方が良いんじゃないのか?
ビリーは一晩中考えていた。
………………………
翌日村は大変なことになっていた。これまで来たことがない嵐が村を襲ったのだ。
嵐が去った後は酷いものだった。作物は壊滅的。柵が壊れ家畜が逃げ出していた。
コールマンがビリーを訪ねたのはこの日の午後だった。
……………………………
翌日朝起きた村人は驚いた。昨日まで壊滅的だった村が元通りになっていた。まるで嵐など無かったようだ。にげた家畜は帰ってきていたが傷だらけだった。この傷だけが嵐があった証拠だ。
村人は神様に感謝した。
村人が神様に感謝しているころ、ビリーは一人丘の上でマーキンの誕生日の準備をしていた。
誕生日を翌日に控えビリーはせっせと準備する。
太陽は傾きビリーの顔をオレンジに染めていった…。
つづく
2009年11月06日
ビリー2
毎日繰り返されるビリーのイタズラ。
魔法を使ったいたずらはすさまじく、村の大人の力ではどうしようもなかった。
子供だからと半ばビリーのイタズラを許していたコールマンは限界に来ていた。
でもビリーは自分がイタズラをしているとは思っていなかった。
ビリーには動物の声が聞けたのだ。
コールマンの鶏がお願いする。
『ビリーやどうか僕に立派な翼をくれないか?僕は一度で良いから空を優雅に飛んでみたい。』
『お安いごようさ!そのかわり皆に「ビリーは最高の魔法使い」だと言ってくれよ。』
ビリーから立派な翼を貰った鶏は大きく羽ばたき飛んでいった。
………………………………………………………………
一方鶏を逃がされたコールマン。
ビリーをこの村から追い出そうとしていた。
コールマンは一通の手紙を書いた。
………………………………………………………………
その頃ビリーはいつもの丘でマーキンと楽しくおしゃべりしていた。
そこに一匹の黄色い鶏が飛んできた。
『好き勝手やっているようだねビリー』
ビリーはこの鳥を知っていた。魔法界の連絡鳥だ。
黄色い鳥は話た。
『ビリーこれはもう決まったことだから心して聞くように。お前の魔法は後3回しか使えない。お父様がお前の魔力をつけなくしたんだ。それ以上魔法を使うとお前はもう動くことが出来なくなってしまう。あと3回だよ。分かったね。』
一方的に話した黄色い鳥はビリーの周りを2週して飛んでいった。
鳥の話は分からないキーマン。ビリーに聞いた。
『どうしたんだよビリー。顔が真っ青だよ。何かあの鳥に嫌なことと言われたのかい?』
『いやなんでもない。キーマン俺は決めたよ!何か大きなことをする。そして皆に認めてもらうんだ!そんなことよりキーマン。来週はお前の誕生日だろう?何か欲しいものはないか?俺様の凄い魔法で出してやるよ!』
『うわぁー!ありがとう!!ん~僕は犬が欲しい!大きくて白いやつ。』
『おいおい!犬なんて魔法で出さなくても良いじゃないか。他のものは無いのか?』
『ビリーが出した犬が良いんだよ。』
何も知らないキーマンは笑った。
ビリーは少し考えて
『分かった!とびっきりの犬を出してやる。健康で病気にならない立派犬だ。来週を楽しみにしてな』
魔法を使ったいたずらはすさまじく、村の大人の力ではどうしようもなかった。
子供だからと半ばビリーのイタズラを許していたコールマンは限界に来ていた。
でもビリーは自分がイタズラをしているとは思っていなかった。
ビリーには動物の声が聞けたのだ。
コールマンの鶏がお願いする。
『ビリーやどうか僕に立派な翼をくれないか?僕は一度で良いから空を優雅に飛んでみたい。』
『お安いごようさ!そのかわり皆に「ビリーは最高の魔法使い」だと言ってくれよ。』
ビリーから立派な翼を貰った鶏は大きく羽ばたき飛んでいった。
………………………………………………………………
一方鶏を逃がされたコールマン。
ビリーをこの村から追い出そうとしていた。
コールマンは一通の手紙を書いた。
………………………………………………………………
その頃ビリーはいつもの丘でマーキンと楽しくおしゃべりしていた。
そこに一匹の黄色い鶏が飛んできた。
『好き勝手やっているようだねビリー』
ビリーはこの鳥を知っていた。魔法界の連絡鳥だ。
黄色い鳥は話た。
『ビリーこれはもう決まったことだから心して聞くように。お前の魔法は後3回しか使えない。お父様がお前の魔力をつけなくしたんだ。それ以上魔法を使うとお前はもう動くことが出来なくなってしまう。あと3回だよ。分かったね。』
一方的に話した黄色い鳥はビリーの周りを2週して飛んでいった。
鳥の話は分からないキーマン。ビリーに聞いた。
『どうしたんだよビリー。顔が真っ青だよ。何かあの鳥に嫌なことと言われたのかい?』
『いやなんでもない。キーマン俺は決めたよ!何か大きなことをする。そして皆に認めてもらうんだ!そんなことよりキーマン。来週はお前の誕生日だろう?何か欲しいものはないか?俺様の凄い魔法で出してやるよ!』
『うわぁー!ありがとう!!ん~僕は犬が欲しい!大きくて白いやつ。』
『おいおい!犬なんて魔法で出さなくても良いじゃないか。他のものは無いのか?』
『ビリーが出した犬が良いんだよ。』
何も知らないキーマンは笑った。
ビリーは少し考えて
『分かった!とびっきりの犬を出してやる。健康で病気にならない立派犬だ。来週を楽しみにしてな』
つづく
2009年10月30日
ビリー1
イタズラ好きなビリーは村の嫌われ者。
いつも魔法で村中にイタズラいて回るビリーを村人は嫌いだった。
そんなビリーにも一人の友達がいた。名前はマーキン。ビリーの唯一の友達だ。
二人は毎日丘の上で話していた。
『ビリー!聞いたよ!また悪戯したんだって!コールマンのおじさんが怒ってたよ!』
『おいおいマーキン俺は悪くないんだぜ!コールマンがお前の悪口言っててさ頭きたんだよ。』
『そんなことばっかりしているから嫌われるんだよ。魔法使いって言うのはもっと皆に愛されないと。だって魔法が使えることは凄いことなんだよ!何でもできるしさ!僕も魔法使いに生まれたかったよ。』
『凄いと思うんだったらもっと村の皆も俺を称えろよ!マーキン俺はさ、もっと大きなことがしたいんだ!村の皆を黙らせるぐらいの大きなことを!俺の夢はなマーキン。この村に俺の銅像を立てることだ。どうだ凄いだろ!マーキンも俺のようにでっかい夢は無いのか?』
『ふーん。大きな夢だね。僕の夢は星を全部数えることさ!一体どれだけの星があるのか知りたくない?僕は毎日数えているんだけど終わりそうにも無いよ…』
『じゃあ数え終わる頃にはヨボヨボだな~。』
二人は笑った。
こんな風に2人の毎日は過ぎていった。
いつも魔法で村中にイタズラいて回るビリーを村人は嫌いだった。
そんなビリーにも一人の友達がいた。名前はマーキン。ビリーの唯一の友達だ。
二人は毎日丘の上で話していた。
『ビリー!聞いたよ!また悪戯したんだって!コールマンのおじさんが怒ってたよ!』
『おいおいマーキン俺は悪くないんだぜ!コールマンがお前の悪口言っててさ頭きたんだよ。』
『そんなことばっかりしているから嫌われるんだよ。魔法使いって言うのはもっと皆に愛されないと。だって魔法が使えることは凄いことなんだよ!何でもできるしさ!僕も魔法使いに生まれたかったよ。』
『凄いと思うんだったらもっと村の皆も俺を称えろよ!マーキン俺はさ、もっと大きなことがしたいんだ!村の皆を黙らせるぐらいの大きなことを!俺の夢はなマーキン。この村に俺の銅像を立てることだ。どうだ凄いだろ!マーキンも俺のようにでっかい夢は無いのか?』
『ふーん。大きな夢だね。僕の夢は星を全部数えることさ!一体どれだけの星があるのか知りたくない?僕は毎日数えているんだけど終わりそうにも無いよ…』
『じゃあ数え終わる頃にはヨボヨボだな~。』
二人は笑った。
こんな風に2人の毎日は過ぎていった。
つづく
2009年10月30日
ヤドカリのカルス4
マキノリに聞いた場所へ走るカルス。
すぐに息が切れ鼓動が激しくなったが、カルスは走ることを止めなかった。
岩場についたカルスは探した。マキノリに聞いた場所を思い出し探した。
カツンッ!何かが足に当たった。何かの欠片だ。しかしどこか見覚えがある。
それはかつてのカルスの家だった。
マキノリの話ではこの場所で粉々になったカルスの家を見つけ、カルスは死んだことになっているそうだ。
『なんで…』
その時カルスはジョファニーとの夜のことを思い出していた。
『そうか!そうだったんだ!』
カルスは思った。あんなに素敵なジョファニーに何かあるわけない。きっと家が狭すぎて引っ越したんだと。
『そうだ。ジョファニーに返さないと。』
カルスは赤い星の砂を取り出した。
すると、あんなに鮮やかだった星の砂の色が茶色く濁っていた。
カルスは急に不安にかられた。
それから浜に戻ったカルス…
カルスはあちらこちらにメッセージを出した。
草むらから岩場。色んな所にメッセージを残した。
【ジョファニーへ:大事なものを預かっています。カルス】
それから仲間達に色々聞いて回った。だがジョファニーを見たものはとうとう見つからなかった。
それでもカルスは待った。きっとその内ジョファニーが帰ってくるさ。そう信じていた。いや。そう信じなければいけない気がしていた。
ジョファニーを思い過ごす日々。カルスの夢にジョファニーが出てきた。
カルスは言った。
『やぁジョファニー。なんだか長いこと待った気がするよ。君の忘れていった大事なものは僕がちゃんと持っているよ。』
ジョファニーは黙ったままだった。
カルスがまた何か言おうとした時にジョファニーが口を開いた。
『お願いね。』
そう言うとジョファニーは消えていった。
『待って!』
そこで夢から覚めた…
『ジョファニー…』
パキッ!
その時何かが割れる音がした。
すぐに息が切れ鼓動が激しくなったが、カルスは走ることを止めなかった。
岩場についたカルスは探した。マキノリに聞いた場所を思い出し探した。
カツンッ!何かが足に当たった。何かの欠片だ。しかしどこか見覚えがある。
それはかつてのカルスの家だった。
マキノリの話ではこの場所で粉々になったカルスの家を見つけ、カルスは死んだことになっているそうだ。
『なんで…』
その時カルスはジョファニーとの夜のことを思い出していた。
『そうか!そうだったんだ!』
カルスは思った。あんなに素敵なジョファニーに何かあるわけない。きっと家が狭すぎて引っ越したんだと。
『そうだ。ジョファニーに返さないと。』
カルスは赤い星の砂を取り出した。
すると、あんなに鮮やかだった星の砂の色が茶色く濁っていた。
カルスは急に不安にかられた。
それから浜に戻ったカルス…
カルスはあちらこちらにメッセージを出した。
草むらから岩場。色んな所にメッセージを残した。
【ジョファニーへ:大事なものを預かっています。カルス】
それから仲間達に色々聞いて回った。だがジョファニーを見たものはとうとう見つからなかった。
それでもカルスは待った。きっとその内ジョファニーが帰ってくるさ。そう信じていた。いや。そう信じなければいけない気がしていた。
ジョファニーを思い過ごす日々。カルスの夢にジョファニーが出てきた。
カルスは言った。
『やぁジョファニー。なんだか長いこと待った気がするよ。君の忘れていった大事なものは僕がちゃんと持っているよ。』
ジョファニーは黙ったままだった。
カルスがまた何か言おうとした時にジョファニーが口を開いた。
『お願いね。』
そう言うとジョファニーは消えていった。
『待って!』
そこで夢から覚めた…
『ジョファニー…』
パキッ!
その時何かが割れる音がした。
おわり
2009年10月23日
タイトル変えました
どうもオオタクです。
ある心無い人から『絵が無いと絵本じゃない』的なことを超遠まわしに言われたのでタイトルを変えます。
うわ~あらためて見るとひどいタイトルですね~。
今日も妄想しております。
ある心無い人から『絵が無いと絵本じゃない』的なことを超遠まわしに言われたのでタイトルを変えます。
変更
↓↓↓↓↓↓↓
『オオタクの読む絵本』
↓↓↓↓↓↓↓
『先天性妄想病オオタクのちょっと暗めな物語。』
↓↓↓↓↓↓↓
『オオタクの読む絵本』
↓↓↓↓↓↓↓
『先天性妄想病オオタクのちょっと暗めな物語。』
うわ~あらためて見るとひどいタイトルですね~。
今日も妄想しております。
2009年10月21日
ヤドカリのカルス3
朝起きたカルス。
カルスは悩んでいた。この赤い星の砂をジョファニーに返したい。
しかし…
あの引越しの日は最高だった。まさにカルスにとっては奇跡の日ともいえる。
普段のカルスに女の子と喋る勇気なんて無かった。
よし明日返そう。
翌日は雨が降った。カルスは雨を理由に赤い星の砂を返すのを延期した。
その翌日は少しお腹が痛かった。カルスは自分の体調が万全じゃないことを理由に赤い星の砂を返すのを延期した。
そのまた翌日もカルスは自分でそれらし理由をつけ、ジョファニーに会いに行くのを延期した。
そうしているうちに一週間が過ぎようとしていた。
この一週間ジョファニーはカルスを訪ねてこない。この赤い星の砂はそれほど大事なものじゃあ無いのか?カルスはむしろジョファニーが向こうから来ることを望んでいた。
そうしているうちに1ヶ月が過ぎようとしていた。
カルスは赤い星の砂のことなんてすっかり忘れて浜辺を散歩していた。
すると友達のマキノリに会った。
マキノリはカルスを見るやブルブル震えだした。
『カルス…お前なのか?本物か?』
マキノリは酷く怯えている。
『何言ってるんだよマキノリ。僕だよカルスだよ。』
マキノリはカルスの顔をジロジロ見ながら言った。
『お前…死んだことになってるぞ…。』
カルスは悩んでいた。この赤い星の砂をジョファニーに返したい。
しかし…
あの引越しの日は最高だった。まさにカルスにとっては奇跡の日ともいえる。
普段のカルスに女の子と喋る勇気なんて無かった。
よし明日返そう。
翌日は雨が降った。カルスは雨を理由に赤い星の砂を返すのを延期した。
その翌日は少しお腹が痛かった。カルスは自分の体調が万全じゃないことを理由に赤い星の砂を返すのを延期した。
そのまた翌日もカルスは自分でそれらし理由をつけ、ジョファニーに会いに行くのを延期した。
そうしているうちに一週間が過ぎようとしていた。
この一週間ジョファニーはカルスを訪ねてこない。この赤い星の砂はそれほど大事なものじゃあ無いのか?カルスはむしろジョファニーが向こうから来ることを望んでいた。
そうしているうちに1ヶ月が過ぎようとしていた。
カルスは赤い星の砂のことなんてすっかり忘れて浜辺を散歩していた。
すると友達のマキノリに会った。
マキノリはカルスを見るやブルブル震えだした。
『カルス…お前なのか?本物か?』
マキノリは酷く怯えている。
『何言ってるんだよマキノリ。僕だよカルスだよ。』
マキノリはカルスの顔をジロジロ見ながら言った。
『お前…死んだことになってるぞ…。』
つづく
2009年10月06日
ヤドカリのカルス2
浜辺の不動産は毎日大忙し。
中古物件から新しい物件まで毎日のように仕事が入ってくる。
外から不動産屋が忙しそうにしているのを見ていたカルスは、尻込みしていた。初めてで勝手が分からなかった。
忙しそうだな…。
カルスが入口で固まっていると、ジョファニーがやってきた。カルスが気に入っている女の子だ。こんな夜に会えた事をカルスは心の中で喜んでいた。
『あらカルス何しているの?』
『やっやあジョファニー。実は引越しを考えていてね。でも…。初めてでどうしたら良いのか分からないんだ…』
『奇遇ねカルス。私も今引っ越そうとしているの。この前引っ越したんだけど…。ちょっとサイズが私には大きすぎるみたい。もう少し小さい家に住むわ。中に入らないの?じゃあお先に。』
『あっ!ちょっと待って!』
『なぁにカルス』
『あっあの…もし良ければ僕の家と交換しないか?僕にはこの家ちょっと小さくて…。いっ嫌なら良いんだよ。言ってみただけさ。』
『……ん~良いわよ。じゃあ向こうの茂みで交換しましょうか!』
『本当かい!?』
カルスは幸せだった。だってあのジョファニーと家が交換できるのだから。
家を交換したカルス。ジョファニーは『じゃあね』と言って帰っていった。
カルスは一呼吸して家に入った。ジョファニーの匂いがした気がした。
その夜カルスは一睡も出来なかった。自分の鼓動で眠れなかったのだ。
朝日が浜辺を指してきたころカルスは起きた。いつも間にか眠ってしまったらしい。
目を覚ましたカルス。家の中に小さなものを見つけた。赤い星砂が3粒。家の隅に落ちていた。
中古物件から新しい物件まで毎日のように仕事が入ってくる。
外から不動産屋が忙しそうにしているのを見ていたカルスは、尻込みしていた。初めてで勝手が分からなかった。
忙しそうだな…。
カルスが入口で固まっていると、ジョファニーがやってきた。カルスが気に入っている女の子だ。こんな夜に会えた事をカルスは心の中で喜んでいた。
『あらカルス何しているの?』
『やっやあジョファニー。実は引越しを考えていてね。でも…。初めてでどうしたら良いのか分からないんだ…』
『奇遇ねカルス。私も今引っ越そうとしているの。この前引っ越したんだけど…。ちょっとサイズが私には大きすぎるみたい。もう少し小さい家に住むわ。中に入らないの?じゃあお先に。』
『あっ!ちょっと待って!』
『なぁにカルス』
『あっあの…もし良ければ僕の家と交換しないか?僕にはこの家ちょっと小さくて…。いっ嫌なら良いんだよ。言ってみただけさ。』
『……ん~良いわよ。じゃあ向こうの茂みで交換しましょうか!』
『本当かい!?』
カルスは幸せだった。だってあのジョファニーと家が交換できるのだから。
家を交換したカルス。ジョファニーは『じゃあね』と言って帰っていった。
カルスは一呼吸して家に入った。ジョファニーの匂いがした気がした。
その夜カルスは一睡も出来なかった。自分の鼓動で眠れなかったのだ。
朝日が浜辺を指してきたころカルスは起きた。いつも間にか眠ってしまったらしい。
目を覚ましたカルス。家の中に小さなものを見つけた。赤い星砂が3粒。家の隅に落ちていた。
つづく
2009年10月02日
ヤドカリのカルス1
カルスは浜辺にたたずんでいた。
ココは星空が良く見える。毎日波の音を聞きながら星空を眺め、浜辺に落ちた木の実を食べ気ままな生活をしていた。
たまに流れてくる熱帯魚の死体はこの上ないご馳走だった。
気ままな生活を送るカルスだったが、最近ちょっとした悩みがあった。家が狭いのだ。
確かに今年は浜辺にサンマが大量に打ちあがったこともあり、毎日美味しいお肉を食べていた。
少し太ったかな?カルスは自分のお尻を触りながら呟いた。
そんなある日カルスが散歩をしていると、空から巨大な生物が覗き込んだ。驚いたカルスは慌てて家に入ろうとするが入れない。
その巨大な生物は特に何をすることも無くその場を去って行った。このときの恐怖は今まで味わったことが無い。
カルスは一代決心をした。
新しい家に引っ越すのだ。
昔友達が引越しの最中に襲われたのを見たカルスは、今まで引っ越したことが無かった。怖かったのだ。
しかし今のカルスに家は小さ過ぎた。仲間に笑われてもこの家で過ごしてきた。ずっとこの家で生きていくと心に決めていたのだ。
だが今日味わった恐怖だけはどうしようもなかった。カルスのプライドが折れるのは早かった。
カルスはその夜、浜辺の不動産に向かった。
ココは星空が良く見える。毎日波の音を聞きながら星空を眺め、浜辺に落ちた木の実を食べ気ままな生活をしていた。
たまに流れてくる熱帯魚の死体はこの上ないご馳走だった。
気ままな生活を送るカルスだったが、最近ちょっとした悩みがあった。家が狭いのだ。
確かに今年は浜辺にサンマが大量に打ちあがったこともあり、毎日美味しいお肉を食べていた。
少し太ったかな?カルスは自分のお尻を触りながら呟いた。
そんなある日カルスが散歩をしていると、空から巨大な生物が覗き込んだ。驚いたカルスは慌てて家に入ろうとするが入れない。
その巨大な生物は特に何をすることも無くその場を去って行った。このときの恐怖は今まで味わったことが無い。
カルスは一代決心をした。
新しい家に引っ越すのだ。
昔友達が引越しの最中に襲われたのを見たカルスは、今まで引っ越したことが無かった。怖かったのだ。
しかし今のカルスに家は小さ過ぎた。仲間に笑われてもこの家で過ごしてきた。ずっとこの家で生きていくと心に決めていたのだ。
だが今日味わった恐怖だけはどうしようもなかった。カルスのプライドが折れるのは早かった。
カルスはその夜、浜辺の不動産に向かった。
つづく
2009年09月29日
マティン4
毎日リンゴを見に行くカルマン。しかしリンゴが実る気配は無かった。
カルマンは木に寄り添い一日を過ごした。
そんなある日のこと、木の下で昼寝をしているカルマンの元に小鳥が飛んできた。目の覚めるような黄色い小鳥だ。小鳥はカルマンに囁いた。
『カルマン。リンゴが食べたいのかい?山の上に行ってごらん。そこには1本の立派なリンゴの木が立っていて、その実は震えるほど美味しいんだから!』
カルマンは少し悩んだ。山を登るためには魔女の森を抜けなければいけない。でも今のカルマンはリンゴがとても食べたいのだ。
山を登ることにしたカルマン。魔女の森に入っていった。この森は小さい頃から何度も聞いた魔女の森。この森に入って帰ってきた者はいないらしい。
カルマンが足早に森を抜けようとすると、散歩をしていた魔女に出会ってしまった。
深い帽子を被っていたがカルマンには、それが魔女だとすぐにわかった。
魔女はカルマンに喋った。
『おやおや。カルマンこんなところで何をしているのかね?』
カルマンは恐ろしかったが、一生懸命言葉を返した。
『僕はただこの森を抜けたいだけです。邪魔はしません。お願いします。』
『この森は私の森だよ。通りたければ通行料を置いて行きな!』
『スイマセン。今ある銀貨はこれだけです。どうにか通してください。』
『ヒヒヒヒ。通行料は銀貨じゃないよ。今家の改装をしていてね。どうにも人手が足りないんだよ。通行料としてお前の手足を貰うよ。』
『手足を…。良いですよ。ですが僕はこの先のリンゴが食べたいんです。代わりの手足を下さい。そしたら差し上げます。』
『リンゴを取れるだけの手足で良いならつけてやるよ。』
魔女はカルマンの手足を持って森に消えていきました。
新しい手足をもらったカルマン。森を進んでいきます。とそこにまた魔女が現れました。
『やいやい!小僧!誰の許可でこの森を歩いているんだい!』
『さっき老婆に許可は貰っています。お願いです。通してください。』
『老婆だって?私は知らないよ。ココを通りたければ通行料としてその首置いて行きな!おしゃれな眼鏡掛けが欲しかったんだよ。』
『わかりました。ですが首をお渡ししたらリンゴが食べれません。代わりの目と口を下さい。』
『ふ〜ん。リンゴね。わかった。かわりの目と口をやるよ。だけど簡単なものだよ。』
魔女はそう言い目玉一つと大きな口をくれました。
新しい足は速くは歩けないが、一歩ずつ一歩ずつカルマンは進んでいった。
カルマンは森を抜け、山に登りリンゴの木にたどり着きました。
カルマンはスルスルと手を伸ばしリンゴを一つ取り、大きな口に運びました。そのリンゴは言葉が出ないぐらい美味しかったのです。
リンゴが沢山実った木の上で、カルマンは毎日を幸せに過ごしました。
カルマンは木に寄り添い一日を過ごした。
そんなある日のこと、木の下で昼寝をしているカルマンの元に小鳥が飛んできた。目の覚めるような黄色い小鳥だ。小鳥はカルマンに囁いた。
『カルマン。リンゴが食べたいのかい?山の上に行ってごらん。そこには1本の立派なリンゴの木が立っていて、その実は震えるほど美味しいんだから!』
カルマンは少し悩んだ。山を登るためには魔女の森を抜けなければいけない。でも今のカルマンはリンゴがとても食べたいのだ。
山を登ることにしたカルマン。魔女の森に入っていった。この森は小さい頃から何度も聞いた魔女の森。この森に入って帰ってきた者はいないらしい。
カルマンが足早に森を抜けようとすると、散歩をしていた魔女に出会ってしまった。
深い帽子を被っていたがカルマンには、それが魔女だとすぐにわかった。
魔女はカルマンに喋った。
『おやおや。カルマンこんなところで何をしているのかね?』
カルマンは恐ろしかったが、一生懸命言葉を返した。
『僕はただこの森を抜けたいだけです。邪魔はしません。お願いします。』
『この森は私の森だよ。通りたければ通行料を置いて行きな!』
『スイマセン。今ある銀貨はこれだけです。どうにか通してください。』
『ヒヒヒヒ。通行料は銀貨じゃないよ。今家の改装をしていてね。どうにも人手が足りないんだよ。通行料としてお前の手足を貰うよ。』
『手足を…。良いですよ。ですが僕はこの先のリンゴが食べたいんです。代わりの手足を下さい。そしたら差し上げます。』
『リンゴを取れるだけの手足で良いならつけてやるよ。』
魔女はカルマンの手足を持って森に消えていきました。
新しい手足をもらったカルマン。森を進んでいきます。とそこにまた魔女が現れました。
『やいやい!小僧!誰の許可でこの森を歩いているんだい!』
『さっき老婆に許可は貰っています。お願いです。通してください。』
『老婆だって?私は知らないよ。ココを通りたければ通行料としてその首置いて行きな!おしゃれな眼鏡掛けが欲しかったんだよ。』
『わかりました。ですが首をお渡ししたらリンゴが食べれません。代わりの目と口を下さい。』
『ふ〜ん。リンゴね。わかった。かわりの目と口をやるよ。だけど簡単なものだよ。』
魔女はそう言い目玉一つと大きな口をくれました。
新しい足は速くは歩けないが、一歩ずつ一歩ずつカルマンは進んでいった。
カルマンは森を抜け、山に登りリンゴの木にたどり着きました。
カルマンはスルスルと手を伸ばしリンゴを一つ取り、大きな口に運びました。そのリンゴは言葉が出ないぐらい美味しかったのです。
リンゴが沢山実った木の上で、カルマンは毎日を幸せに過ごしました。
おわり
2009年09月28日
マティン3
マティンは休まずリンゴを食べ続けた。
村を一周するリンゴの木もマティンにかかれば2日ももたなかった。
村中のリンゴを食べつくしたマティンは幸福でいっぱいだった。全身に太陽の光を浴び、大きく背伸びをした。
もうマティンはそこから動かなくなった。足は根を張り、頭からは枝が生えていった。
それから1ヶ月が過ぎる頃マティンは立派なリンゴの木になっていた。自我は消え去りスクスク育つマティン。
沢山の太陽の光を浴びて育つマティン。周りのリンゴの木と同じぐらい成長した頃、一つのリンゴの実をつけた。
それは太陽のような金色に輝くリンゴの実。その実は落ちることなく毎日輝いていた。
村ではそのリンゴの噂でもちきりだった。
『金色のリンゴが成る木があるらしい。』
『本当か?1ヶ月前突然リンゴが無くなってからリンゴを食べていない。そのリンゴをとりに行こう!』
『よせよ。金色のリンゴなんでなんか気味悪い。俺は赤いリンゴが出来るのを待つよ。』
その噂を聞いていた村の少年カルマン。どうしてもそのリンゴが食べたかった。
リンゴの木で囲まれた村で育ったカルマンにとって一日でもリンゴが食べられないのは苦痛だった。
その日の夜カルマンは親が寝静まったのを見て家を抜け出した。
マティンの木にやってきたカルマン。金色のリンゴを見て驚いた。
真夜中なのに輝いていたのだ。
カルマンは木に登りリンゴを取った。思ったよりずっしりと重いリンゴ。
恐る恐る一口食べてみた。
その味はこれまで食べたどのリンゴよりも美味しかった。カルマンは幸せに満たされ帰路に着いた。
マティンの木ははまた実をつけた。カルマンが1つ食べると、翌日にはまた1つ実をつけた。
カルマンは毎日金色のリンゴを食べに行った。毎日が幸せなカルマン。
しかしその幸せは短かった。1週間もするとリンゴの実がならなくなた。カルマンは毎日リンゴを見に行くが、もう実がなることは無かった。
村を一周するリンゴの木もマティンにかかれば2日ももたなかった。
村中のリンゴを食べつくしたマティンは幸福でいっぱいだった。全身に太陽の光を浴び、大きく背伸びをした。
もうマティンはそこから動かなくなった。足は根を張り、頭からは枝が生えていった。
それから1ヶ月が過ぎる頃マティンは立派なリンゴの木になっていた。自我は消え去りスクスク育つマティン。
沢山の太陽の光を浴びて育つマティン。周りのリンゴの木と同じぐらい成長した頃、一つのリンゴの実をつけた。
それは太陽のような金色に輝くリンゴの実。その実は落ちることなく毎日輝いていた。
村ではそのリンゴの噂でもちきりだった。
『金色のリンゴが成る木があるらしい。』
『本当か?1ヶ月前突然リンゴが無くなってからリンゴを食べていない。そのリンゴをとりに行こう!』
『よせよ。金色のリンゴなんでなんか気味悪い。俺は赤いリンゴが出来るのを待つよ。』
その噂を聞いていた村の少年カルマン。どうしてもそのリンゴが食べたかった。
リンゴの木で囲まれた村で育ったカルマンにとって一日でもリンゴが食べられないのは苦痛だった。
その日の夜カルマンは親が寝静まったのを見て家を抜け出した。
マティンの木にやってきたカルマン。金色のリンゴを見て驚いた。
真夜中なのに輝いていたのだ。
カルマンは木に登りリンゴを取った。思ったよりずっしりと重いリンゴ。
恐る恐る一口食べてみた。
その味はこれまで食べたどのリンゴよりも美味しかった。カルマンは幸せに満たされ帰路に着いた。
マティンの木ははまた実をつけた。カルマンが1つ食べると、翌日にはまた1つ実をつけた。
カルマンは毎日金色のリンゴを食べに行った。毎日が幸せなカルマン。
しかしその幸せは短かった。1週間もするとリンゴの実がならなくなた。カルマンは毎日リンゴを見に行くが、もう実がなることは無かった。
つづく
2009年09月25日
マティン2
突然生らなくなったリンゴ…。
マティンはリンゴが無いと生きていけない事を自分で知っていた。
日常が非日常になったことをマティンは恐怖した。これから毎日リンゴは無いのか。明日からの生活に戦慄を覚えた。
リンゴが生らなくなって3日たったころマティンは動かなくなっていた。楽しかった日々も苦痛だった。1日が長く…とてつもなく長く感じた…。
そこに一匹の小鳥が飛んできた。目も覚めるような黄色い鳥だ。小鳥は囀った。
『可愛そうなマティン。毎日見ていたよ。ほらごらんマティン。山のしたの村にはリンゴの木が沢山あるよ。』
マティンの目が開いた。口は閉ざしたまま山を降りていく。ノソリノソリと…。
山を降りていくと森の魔女に出会った。
『おやマティンお出かけかい?珍しいねヒヒヒヒヒ。』
どこかで見たことがあるような感じがしたが、マティンは何も答えず一直線に村に向かった。
山を降りるとそこには沢山のリンゴの木があった。
片っ端からリンゴを食べるマティン。毎日食べていた量とは比べ物にならない速さでリンゴを食べつくしていった。
マティンはリンゴが無いと生きていけない事を自分で知っていた。
日常が非日常になったことをマティンは恐怖した。これから毎日リンゴは無いのか。明日からの生活に戦慄を覚えた。
リンゴが生らなくなって3日たったころマティンは動かなくなっていた。楽しかった日々も苦痛だった。1日が長く…とてつもなく長く感じた…。
そこに一匹の小鳥が飛んできた。目も覚めるような黄色い鳥だ。小鳥は囀った。
『可愛そうなマティン。毎日見ていたよ。ほらごらんマティン。山のしたの村にはリンゴの木が沢山あるよ。』
マティンの目が開いた。口は閉ざしたまま山を降りていく。ノソリノソリと…。
山を降りていくと森の魔女に出会った。
『おやマティンお出かけかい?珍しいねヒヒヒヒヒ。』
どこかで見たことがあるような感じがしたが、マティンは何も答えず一直線に村に向かった。
山を降りるとそこには沢山のリンゴの木があった。
片っ端からリンゴを食べるマティン。毎日食べていた量とは比べ物にならない速さでリンゴを食べつくしていった。
つづく
2009年09月18日
マティン1
マティンは今日もご機嫌だ。
マティンは自分がなぜココにいるのか覚えていない。マティンにとってリンゴの木の上で目覚めるのは日常だし、友達がいないのは当たり前のことだった。
何の疑問も無く毎日を過ごしていた。リンゴさえあれば幸せだった。マティンの世界はリンゴの木の天辺から根っこまでの狭い世界。それでもマティンはリンゴさえあれば幸せだった。
マティンはいわゆる化け物と言った容姿をしていました。全身茶色の長方形の身体に、目玉が1つ。リンゴまでスルスルと伸びる伸縮自在の腕。足は無くカタツムリのように這うばかり。リンゴを食べるには大きすぎる口。人が見たら恐怖を覚えるだろう。
しかしながらこの山は何故かふもとの村から恐れられていた為、人が山に登ってくることは無かった。マティンの日常は山に守られていたのだ。
日常が崩れるのは突然だった。ある日のこと、木にリンゴが成らなくなったのだ。
マティンは自分がなぜココにいるのか覚えていない。マティンにとってリンゴの木の上で目覚めるのは日常だし、友達がいないのは当たり前のことだった。
何の疑問も無く毎日を過ごしていた。リンゴさえあれば幸せだった。マティンの世界はリンゴの木の天辺から根っこまでの狭い世界。それでもマティンはリンゴさえあれば幸せだった。
マティンはいわゆる化け物と言った容姿をしていました。全身茶色の長方形の身体に、目玉が1つ。リンゴまでスルスルと伸びる伸縮自在の腕。足は無くカタツムリのように這うばかり。リンゴを食べるには大きすぎる口。人が見たら恐怖を覚えるだろう。
しかしながらこの山は何故かふもとの村から恐れられていた為、人が山に登ってくることは無かった。マティンの日常は山に守られていたのだ。
日常が崩れるのは突然だった。ある日のこと、木にリンゴが成らなくなったのだ。
つづく
2009年09月18日
始めるよ。
どうもオオタクです。
いや~。暇って怖いですね~。
僕はデザイン学科の大学に通っていたんですが、その授業だったか趣味だったか忘れましたが絵本を作りましてね。
あの頃は楽しかったな~。なんて思い出しまして。
まぁ大人の事情で大学の頃作った絵本は手元に無いんですけど…。
とっとにかくまた何か書いてみようかな~。なんて不意に思ってですね。新しくブログを立ち上げ『読む絵本』でも書こうかと…。
でも絵は無いんですけどね。じゃあ小説じゃないか!と思った貴方!そんな大それたものは書けません!!
絵本と小説の間ぐらいのしょぼい感じになると思います。まぁ毎日は更新できないかもしれませんが、ちょくちょく書いていきます。ではでは
いや~。暇って怖いですね~。
僕はデザイン学科の大学に通っていたんですが、その授業だったか趣味だったか忘れましたが絵本を作りましてね。
あの頃は楽しかったな~。なんて思い出しまして。
まぁ大人の事情で大学の頃作った絵本は手元に無いんですけど…。
とっとにかくまた何か書いてみようかな~。なんて不意に思ってですね。新しくブログを立ち上げ『読む絵本』でも書こうかと…。
でも絵は無いんですけどね。じゃあ小説じゃないか!と思った貴方!そんな大それたものは書けません!!
絵本と小説の間ぐらいのしょぼい感じになると思います。まぁ毎日は更新できないかもしれませんが、ちょくちょく書いていきます。ではでは