マイケル3

オオタク(悪)

2010年07月05日 13:57

その日マイケルは寝付けなかった。寝る前にユニとおしゃべりしすぎていたからだ。少し興奮していたのかもしれない。




いつもは一人で行けない夜中のトイレに行った。暗い廊下では怖い事が常に頭に浮かんで夜中のトイレはいつもユニを起して行っていたが、この日は興奮していたせいか一人でトイレに向かった。




用をすませトイレから出たマイケル。おしっこをして興奮が冷めてしまうと、また暗い廊下が不気味に思えてきた。




足早に部屋へ戻ろうとしたマイケルの目にロングさんの部屋が映った。




「そういえばロングさん泣いていたな…。どうかしたのかな?」





何となく気になっていたロングさんの部屋を通り過ぎようとしたマイケルは声を聞いた。ロングさんの声だった。その声は泣いているように聞こえた。





暗闇が怖く早く毛布に入りたかったマイケルだったが、ロングさんの部屋を覗いてみた。






ロングさんはベッドに腰かけながら泣いていた。





「どうしたの?ロングさんも眠れないの?」





突然声をかけられたロングさんは少し驚いた表情をしたが、落ち着いて話た。




「その声はマイケルだな。こんな遅くにどうしたんだ。」




「眠れないんだ。なんか最近凄く考え事しちゃって…。ここがどこだかも分からないし。毎日同じことばっかりやってるしさ…。ロングさんはココに来て長いんでしょ?何か知ってるの?」




「マイケル。世の中には知らない方が幸せってことがあるんだよ。私は長く生きすぎた。そのせいで知らない方が良いことも知ってしまった。無駄な好奇心は持たない事だよ。」




声がかすれたロングさんは答えた。その声は近くにいても遠くに感じられた。ロングさんは続けた。




「今度達成者になるのはこの私だ。私は早く達成者になりたかった。ここを出るには達成者にならなければならないからな。もう私は疲れたんだよ。」




その次の木曜日ロングさんは達成者として去って行った。その顔は安堵の表情と言うよりは何か怯えた表情をしていた。

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